メイキング オブ ヨコハマセンチメンタルナイト
作:キュアウェル 画:稲井ハルカ
Story by Curewell Illustration by Haruka INAI
2024 Curewell & Haruka INAI All rights reserved
漫画「ヨコハマセンチメンタルナイト」ができるまでです。
2024 Curewell & Haruka INAI All rights reserved
真美の髪型。第一案ではショートカット。最終稿ではロングヘア。
徹のウェア。第一案では赤。第二案では白地に赤のライン。最終稿では胸のボタンの赤いラインなしへ。
副部長の名前は、第一案では啓介だったが、最終案では圭吾に変更。
真美の大学2年生の終わり、季節は2月中旬~下旬。第一案ではお花見だったが、最終稿では屋外の風景に変更。
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憧れていた
横浜の大学に
合格した真美は、
桜が咲くキャンパス
を歩いていた。
●桜咲くキャンパスを歩く真美
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大学に入ったら、
テニスサークルに
入ろうと決めていた
真美であったが、
テニスは初めて
だった。
校舎にたどりつく
までの間、何度も
上級生たちに囲まれた。
●テニスを思い浮かべる真美、あちこちから声をかけられている
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真美はいくつかの
サークルから勧誘されたが、
イケメンの部長さんに
勧誘されたことがきっかけで、
彼が所属するテニスサークル
に入ることにした。
●イケメン部長に話しかけられ、ときめいた表情の真美
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スポーツマンでさわやかな
3年生の部長・徹の周囲には
女子部員の取り巻きが
いつも何人もいた。
部長と同じ学年の副部長・圭吾は、
部長と対照的なまじめな感じの
メガネをかけた控えめの人だった。
二人ともテニスがとても上手で、
二人がラリーを始めると、
人だかりができるほどであった。
●女子にかこまれる部長と、テニスラケットの様子をたしかめてる副部長を対照的に
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部長「おい、圭吾、真美にテニスを教えてやれよ」
圭吾「え?僕が教えるの?」
真美は、正直なところ、
部長に教えて
もらいたかったのだが、
新入生の立場で
そんなことは言える
はずもなかった
真美「お願いします」
●3人のカット
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それから圭吾は真美を相手に、
ラケットの持ち方や
サーブの打ち方など、
一つずつ丁寧に教えていった。
●教えてもらってる様子
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真美は、圭吾とラリーをしながら、
横で別の女子部員とラリーを
している徹が気になっていた。
●場面は夕方、あせをぬぐう真美ごしに、徹と女子部員がみえる、真美は隣のコートを気にしている
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圭吾 ちっちゃい文字「おつかれさま」
「いつか僕に勝ったら、
僕が一番好きなお店に
連れて行ってあげるよ。
とてもおいしい
フレンチの店があるんだ」
真美「はい、
その日が来ることを
楽しみに、がんばります」
真美(これが徹さんからの
お誘いならば、もっと
嬉しいんだけどな)
それでも真美は、テニスに打ち込んだ。
●練習終わりの2人の会話
●背景にちょっとさみしげな表情の真美のアップ
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ボールを自由自在に
打ち返せるようになった
楽しさを知った真美は
持ち前の運動神経の良さで、
めきめき上達していった。
●真美が楽しそうにテニスに打ち込む様子を何カットかいれる
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しかし、初心者の真美に
一からテニスを教えた圭吾は、
真美のサーブの癖を
知り尽くしていた。
そんな真美のサーブは、
どうしても圭吾に
打ち返されてしまうのだった。
●サーブを打ち返される様子
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学部の友だちや
サークルの仲間に囲まれて
学生生活を楽しんでいた真美に、
大学に入って3回目の
春が訪れようとしていた。
真美は、まだ徹に想いを
伝えることができずにいた。
●仲間と飲んでる真美のカット、テニスを楽しむカット、遠くから徹を見つめ顔を赤らめている真美
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●時間経過のコマをいれる
圭吾「真美、僕が卒業する前に
試合をしてみるか」
真美「はい、お願いします」
腕が上がっていたことを
自覚していた真美は
そう答えた。
●話しかける圭吾と、自信のある表情の真美
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圭吾の卒論の審査が
終わった日の午後、
真美と圭吾は山手の
テニスコートにいた。
部員たちが見守る中、
二人の試合が始まった。
●コートをひきで見ているカット
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同点で迎えた真美の
最後のサーブが放たれた。
●サーブをうつ真美
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圭吾は、踏み出すのを
ほんの少し遅らせた。
真美の1点が入り、
試合が終わった。
●圭吾が打ち損ねる様子
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圭吾「真美、ずいぶん、
強くなったな。
「もう僕が教えることは
何もないよ」
真美「ありがとうございます。
先輩のおかげです」
●握手をする2人
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汗を拭きながら
観客席を見ると、
●真美が汗をふいている様子
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徹と後輩の女の子が
寄り添って
坐っているのが見えた。
●客席の徹と女の子
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以前から、二人の仲は
うわさされていたが、
目の前で二人が一緒に
いるのを見せられるのは、
真美には辛かった。
●呆然と客席を見つめる真美
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圭吾に勝った
うれしい表情が消え、
みるみるうちに
青ざめていった
圭吾「僕に勝ったのに
うれしくないのかい」
真美「いえ、
そういうわけではないです」
圭吾「…」
●真美に話しかける圭吾
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圭吾「そうだ、次の土曜日、
前に約束したお店に行こうか」
●うつむき泣きそうな表情の真美ごしに、話しかける圭吾、
ふたりとも横顔
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真美「はい、お願いします」
●泣くのをこらえ、明るくこたえる真美
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土曜日、圭吾は車で
真美を迎えに来た。
二人は、圭吾が予約した
お店で食事をした。
その店は、横浜でも
歴史のある老舗の
レストランだった。
真美「こんなにおいしい料理を
食べたことがありません。
先輩、ありがとうございます」
●目を輝かせる真美、食事をしている様子
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●時間経過のコマ
食事を終え、帰っていると
真美「山下ふ頭に寄ってください。
少し、海が見たいです」
圭吾「分かった。
寄り道をして帰ろうか」
山下ふ頭まで
車を走らせた。
●車にのっているふたり
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埠頭に車を停めて、
二人は岸壁に座って
海を眺めた。
真美の目からは
涙が流れていた。
真美「私...」
●岸壁に座って話し出す2人、真美の目はうるんでいる
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真美は、
泣き出してしまった。
圭吾「わかっているよ。
徹のことだろ」
真美「はい」
二人の手と手が触れたが、
お互いにそのままにした。
しばらく時間が流れた。
●圭吾の肩にもたれかかる真美、手は触れ合っている
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3月が終わりに
近づいたある日、
4年生の追い出しコンパが、
港の見える丘公園近くの
カフェで行われた。
徹と圭吾は、
卒業証書を片手に
スーツ姿で現れた。
●カフェでの様子
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真美がスーツ姿の圭吾を
見るのは、初めてだった。
大人っぽく見える
圭吾の姿に、
真美はとまどった。
圭吾「僕は田舎に帰って、
銀行に就職することになったよ。
サークルとも真美とも
これでさよならだよ。
楽しかったよ、ありがとう」
●ワイングラスを持ちながら話す圭吾、真美はスーツ姿に少し見とれている様子
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真美「はい、ありがとうございます。
先輩のおかげで、
テニスの楽しさを
知ることができました。
4月からは、
私が副部長になります」
●感謝の表情の真美のアップ
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圭吾「そうかい、がんばれよ」
そういうと圭吾は、
4年生の輪の中に戻っていった。
●真美の肩を軽くたたく圭吾
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●時間経過のコマ
夜9時を過ぎ、
追い出しコンパが終わった。
サークルのみんなは、
駅に向かって歩きだした。
みんな「真美、駅はこっちだよ」
真美「私は用があるから」
●みんなは駅側へ歩く、真美は反対側へ
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真美は山下公園に向かった。
なぜか一人になりたかった。
真美は、歩きながら、
これまでに感じたことがない
寂しさを感じていた。
●険しい表情で一人歩く真美
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真美が初めて
圭吾への気持ちに
気がついた瞬間だった。
真美の心には、
圭吾との日々が思い出された。
ゆっくり坂を下ると、
遠くに霧笛の音が聞こえた。
●真美の後ろ姿、坂の先に海が見える