作:キュアウェル 画:ノビル
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これはミツバチさんとアオムシさんの冒険と友情のお話です。
「むしゃむしゃむしゃ。この葉っぱは、おいしいわ。」
あおむしさんが葉っぱを食べていると、そこへミツバチさんがやってきました。
「あおむしさん、何をしているんだい?」「きゃあ!ミツバチさん、わたしを刺さないで。」「安心して、君を刺したりはしないよ。ぼくは蜜を集めに来ただけさ。」
「そうなんだ。食事のじゃまをしてごめんね」
「いいえ。ミツバチさんは空を飛べて、うらやましいわ。わたしも空を飛んでみたいな。」
「そうか、君には羽がないから飛べないんだね。君を乗せて空に連れて行ってあげられるといいのだけれど。ぼくの小さな羽では無理かな、ごめんね。」
「気にしないで。ミツバチさんとお話しができて、嬉しかったわ。また来てね。」
「うん、また来るよ。」
ミツバチさんは、忙しそうに蜜を集めると、羽をはばたかせて、飛んで行きました。
「やあ、あおむしさん。君、この前より体がずいぶん大きくなったね。」「あら、ミツバチさん。わたし、たくさん食べて大きくなりたいの。いつかわたしも蜜を食べてみたいわ。だって、甘い匂いがしておいしそうですもの。」「そうだね。二人で一緒に蜜を食べることができたら楽しいだろうね。」二人は、いつのまにか仲のよいお友達になっていました。
ある日のことです。葉っぱの上でミツバチさんがうずくまっていました。
「うーん、うーん、痛いよう!」
あおむしさんがびっくりして近づいていくと、ミツバチさんは、羽にけがをしていました。
「ミツバチさん、どうしたの?」
「スズメバチがぼくたちの巣にやってきて、大切な蜜を奪おうとしたんだ。追い払った時にけがをしちゃって、これじゃあ飛べないよ」
「それなら、わたしの背中に乗って。お花まで運んであげるから、蜜を食べて早く元気になってね。」
あおむしさんは、ミツバチさんを乗せて、いっしょうけんめい花をめざしました。
「あおむしさん、君のおかげですっかりよくなったよ。どうもありがとう。」
「それはよかったわ。」
蜜を食べて元気になり、けがが治ったミツバチさんは喜んで巣へと帰って行きました。
またある日のことです。ミツバチさんがあおむしさんを訪ねると、あおむしさんの様子がいつもと違っていました。
「わたし、これから体が動かなくなるの。」
あおむしさんの体は、葉っぱと同じ色のマントにくるまれて、葉っぱの裏でじっと動かなくなってしまいました。あおむしさんは、眠ってしまっているようでした。
「ねえ、あおむしさん、なぜ動かなくなってしまったの?ぼくは君と話をしたいんだ。さみしいよ。」
それからミツバチさんは、毎日、眠ったままのあおむしさんを見守りに行きました。
ある時、小鳥がやってきて、あおむしさんを見つけました。
「ミツバチさん、あなたのそばにじっとしているのは、あおむしさんかしら?」
ミツバチさんは、小鳥があおむしさんを食べようとしていることに気づきました。
「これ以上近づくとこの針で刺すぞ。あっちへ行け!」
「刺さないで!もう来ないから。」
小鳥は慌てて逃げていきました。
次の日、ミツバチさんがあおむしさんの所へやってくると、マントが脱ぎ捨てられていて、あおむしさんの姿はありませんでした。
「あおむしさん、どこにいるの?ぼくのことを嫌いになってしまったの?」
ミツバチさんは、とても悲しくなって、あおむしさんを探しました。しかし、どこを探してもあおむしさんはいませんでした。仕方なく、ミツバチさんは飛び立ちました。
葉っぱの近くの花の上には、一匹の白いモンシロチョウが飛んでいました。
「ミツバチさん、こんにちは。あの時、小鳥に食べられそうになったわたしを助けてくれてありがとう。マントの中で聞いていたわ」
ミツバチさんはモンシロチョウの声を聞いて、とても驚きました。
「えっ!君は、あおむしさんかい?空を飛べるようになったんだね!」「そうなの。風がとても気持ちいいわ。」
「本当だね!この風に乗って、一緒に行こう。ぼくがとってもおいしい蜜の花のところへ案内するよ。」
モンシロチョウはにっこりと頷きました。
二人は、楽しそうに丘の向こうの花畑へと飛んでいきました。